フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)からの「地中無線通信技術」受注について
経済産業省から委託を受け原環センターが開発を進めている「地中無線通信技術」について、フランスの地層処分実施機関であるANDRA(Agence nationale pour la gestion des dechets radioactifs)が関心を示し、今般フランスの処分技術への適用性検討を受注する運びとなりました。(日本側の契約書署名は9月30日)
放射性廃棄物を深い地中に処分する「地層処分」の技術開発の一環として、(財)原子力環境整備促進・資金管理センター(略称原環センター、理事長・板倉治成)は、地下の処分場の状況をモニタリングする機器技術の調査研究を行っています。
この地中無線通信技術は、地下深くにある処分場の状況を測定したデータを、地中の通信ケーブルを使わずに無線で地上に伝えるために開発されて来たものです。 ケーブルの通路が放射性物質の移行経路となる地下水の通りみちにならず、処分場の安全面の向上へ大きな効果が期待できます。
(地中無線通信によるモニタリング技術の開発参照)
これまで地中の電波通信の例としては、土木工事等の地盤計測や海底からのデータ送信の例がありますが、地層処分のような地下深い条件で、長期間のモニタリングへの応用はまだ行われていません。空中で使われる通常の電波通信(MHz~GHz)と違い、地中の岩石の中を伝達するため、周波数の低い電波(本技術では1kHz)を用いて送受信を行うことを特徴としています。
これまで原環センターでは、スウェーデンの地下研究施設の深度500メートルの岩盤で100m以上の距離を通信できることを実際に確かめ、その結果をもとに低周波電波の特性や地質条件にあわせた理論解析手法の開発など、地層処分への適用に向けた開発を着実に進めてきています。
ANDRAは上記研究開発の状況に注目し、まず自国の処分技術の概念に応用した場合の無線伝送技術の適用性能を評価するため、今回、機器性能の予測解析、システムの概念設計および予備試験を原環センターに発注することとなりました。
今後原環センターではANDRAとの契約に基づき、本技術の開発にこれまで技術面で協力して来た鹿島建設㈱と連携して契約業務を実施することとしています。
ANDRA:フランス放射性廃棄物管理機関
ANDRAは、フランスの放射性廃棄物の最終処分に関する公的な研究及び処分実施の主体。放射性廃棄物処分に関する安全評価・サイト調査・処分施設の設計に関する広範な知見を有している機関でもある。現在、地層処分研究のための地下研究施設の建設も手がけている。地中無線伝送に使われる送受信機
- 計測及び送信機
- 受信部